Takeshi Kashihara

SNS と AI の時代に、ウェブサイトは必要?

SNS と AI の時代に、ウェブサイトは必要?

Dixlase(ディクセイラス)を開発している、エクシーディーの柏原(カッシー)です。

今回は、あらためてウェブサイトの役割を考えてみます。

このところ、ウェブサイトやウェブのサービスへの不正アクセスや、情報の漏えいのニュースをよく目にします。
2026 年 10 月にも、国内のサイト作成サービスで不正アクセスが公表され、そのサービスで作られたサイトのフォームに送られた内容なども、外に出たおそれがあるとされています。

出典:サービス提供元のお知らせ(2026 年 10 月 16 日)

さらに同じ 10 月には、PHP 本体に深刻な脆弱性が見つかり、PHP で動くサイトは急いで更新する必要がありました。
この状況を見て、ウェブサイトを管理し続けることを負担に感じた方もいるかもしれません。
「いっそのことサイトを閉じて、SNS だけで発信すればいいのでは」と考える方も出てくるかもしれません。

出典:The Hacker News/Amazon Threat Intelligence

いまは、SNS や動画で、誰でも手軽に情報を発信できます。
調べものも、検索して並んだサイトを順に開くより、AI に聞けば答えが返ってくる時代になりました。

AI が広がるなかで、守るための手間は増え、情報の入口もほかに増えた。
それでも、ウェブサイトは必要なのでしょうか。

CMS を作っている立場なので、私からの答えは想像がつくかもしれません。
ここでは、なぜそう考えるのかを、できるだけ事実をもとに書いておきます。

情報の入口は、SNS と AI に移ってきた

まず、情報の受け取り方は、たしかにここ10年ほどで大きく変わってきています。

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総務省の「令和7年版 情報通信白書」によると、テキストのニュースを主にどこで見るかという調査で、ポータルサイトや SNS などのニュース配信を挙げた人は、2014 年の 36.8% から、2024 年には 73.0% に増えました。
ニュースを見るために YouTube を使う人も、どの世代でも約 3 割います。

出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」情報収集手段

AI を使う人も、一気に増えました。
「令和8年版 情報通信白書」では、生成 AI のサービスを使ったことがある人は、2024 年度の 26.7% から、2025 年度には 58.8% になっています。

出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」生成 AI サービスの利用経験

情報の入口として、検索エンジンだけでなく、SNS や AI などさまざまな手段が使われるようになっているのは、まちがいありません。
では、ウェブサイトの役割はなくなったのでしょうか。私たちは、むしろ役割がはっきりしてきたと考えています。

AI の答えにも、もとになる情報がいる

AI は、何もないところから答えを作っているわけではありません。
検索と組み合わせた AI サービスでは、ウェブ上にある情報をもとに答えを組み立て、その出どころとしてサイトへのリンクを示すものもあります。

2026 年 10 月には、Google が、AI による検索の答えの中に、出どころのサイトへのリンクをより目立つ形で表示すると発表しました。
AI モードでは、答えの上部に公式のウェブサイトをまとめて示す表示も試していると報じられています。

出典:Business Today(2026 年 10 月 16 日)

自分たちのことを、自分たちの言葉で、正確に書いた場所がなければ、AI は正確かどうか分からないまま、ほかの誰かが書いたまとめや、古い情報をもとに語ることになります。
AI に正しく知ってもらうためにも、一次情報を置いておく場所が要ります。

「本物」を確かめる場所になる

SNS は手軽な反面、なりすましも手軽に作れてしまいます。

2026 年 8 月には、デジタル庁が、警察庁や消費者庁などと合同で、SNS などに広がる「なりすまし詐欺広告」への対策を、主な SNS や広告の事業者に要請しました。
フィッシング対策協議会の「フィッシングレポート 2026」によると、2025 年のフィッシングの報告は約 245 万件で、過去最多でした。名前を使われたブランドは 229 にのぼります。

出典:デジタル庁(2026 年 8 月 7 日)/ScanNetSecurity「フィッシングレポート 2026」(2026 年 6 月 11 日)

こうしたなかで、自分たちのドメインのウェブサイトは、「ここが公式です」と示せる場所になります。
公式の SNS アカウントや、問い合わせ先、お知らせを、公式サイトにまとめて載せておけば、迷った人が確かめに来られます。

ただ、偽のサイトも独自のドメインを使うようになっています。
同じレポートでは、2025 年 12 月の時点で、フィッシングの報告の約 75% が、攻撃者が用意した独自のドメインから送られたものでした。
公式サイトがあるだけでは十分ではなく、正しいドメインを、名刺や SNS のプロフィールなどで、ふだんから伝えておくことが大切です。

自分たちのものとして、残しておける

SNS の投稿は、時間とともに流れていきます。
表示の仕組みや規約が変われば届き方も変わり、サービスそのものが終わることもあります。

これは、どこかのサービスが悪いということではありません。人の場所を借りて書く以上、避けられないことです。
くわしくは、このブログの 1 本目「公式ブログを始めました」に書きました。

あとから読み返してほしいこと、変わらずに残しておきたいことは、自分たちの場所に置いておけます。

誰でも、アカウントがなくても見られる

SNS の中には、ログインしないと続きが見られないものや、アプリを入れていないと見にくいものがあります。

ウェブサイトなら、ブラウザがあれば誰でも見られます。
SNS を使っていない人にも、職場のパソコンで調べる人にも、同じように届きます。

受け付けや手続きができる

お問い合わせ、申し込み、予約、会員だけが見られるページ。
こうした「受け付ける」「手続きする」ことは、SNS では扱いにくい役割です。

自分たちで受け付けた情報を、自分たちの責任で扱う。
そのための場所としても、ウェブサイトは欠かせません。
こうしたサイトを運営し続けるための仕組みについては、次の記事「CMS はまだ必要か」で書きます。

これから:AI が読み、使う入口にも

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これからは、AI が人の代わりにウェブサイトを読み、手続きまでする場面も増えていくと考えられます。
そのとき、AI が正しく読み取れる、整った一次情報を持っているかどうかが、いっそう大事になるはずです。
これはまだ見通しの話ですが、ウェブサイトの役割は、なくなるどころか広がっていくと私たちは考えています。

おわりに

SNS や動画、AI は、とても便利な道具です。私たちも使っていますし、これからも使います。
ただ、それぞれに得意なことがあります。

SNS は「知らせる場所」。
AI は「探して、まとめてくれる道具」。
ウェブサイトは「確かめて、残して、受け付ける場所」。

そして、AI がまとめる答えのもとになっているのも、ウェブサイトに置かれた一次情報です。

この 3 つを組み合わせて使うのが、いまの時代に合った情報発信の形だと考えています。
Dixlase は、その「確かめて、残して、受け付ける場所」を、安全に運営するための CMS を目指しています。

もちろん、サイトを持てば、今回の PHP の件のような更新の手間もかかります。
サイトを閉じて SNS だけにすれば、その手間はなくなります。ただ、そのときは、ここで挙げた「確かめて、残して、受け付ける場所」も、あわせて手放すことになります。
そして、その手間の大きさは、どう作り、どう運営するかで大きく変わります。

次の記事では、その手間も含めて、ウェブサイトを動かす仕組みである CMS が、いまも必要なのかを考えます。

ご意見や感想は、GitHub の Issue や SNS で、気軽にお寄せください。

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